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ほのさんのバラ色在宅生活


低酸素脳症、人工呼吸器をつけた娘とのナナコロビヤオキ的泣き笑いのバラ色在宅ライフ
by honohono1017
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「心からの願い」。

「心からの願い」。_f0199379_10105280.jpg

先週から、ヘルペスを患い、神経痛もあったりで、
かあさん、ちょっとへたばっておりました。。

ほのさんは、このとおりの、げんきじるしっ。

先日、段ボールにたっくさんつまったみかんを頂き、
その中に、葉っぱ付きの、さくらんぼみたいに、
ふたっつくっついた、みかんが入ってて、
それを嬉しそうに、抱えておる図です。

ほのさんの、こんな嬉しそうなごきげんなお顔を見ていると、
ほのぼのと、穏やかな気持ちになりますが、
ここで、この間のことを少し。



ほのさんは、10月17日、めでたく5歳を迎えました。
たくさんのあたたかい祝福の気持ちに包まれて。

毎年、このお誕生日を迎えたあとぐらいから、
体調がだんだんと悪くなり、
11月ごろ、結局入院する、という経緯をたどってきたこれまで。

今年は、肺の調子もよく、
やっぱり5歳になるとちがうよねー、なんて言いながら、
今年こそ、入院しなくてすむかも……と思っていた矢先。


おじいちゃんが急に具合悪くなってしまって入院。
かなり悪い状態で、
とうさんも仕事を休んで付き添うことになり。

それで、とっても急だけど、
病棟が快く受け入れてくれたので、
ほのさんをレスパイトにやることになり。

ほのさんを預けないことには、とうさんもかあさんも身動きがとれないので、
そうするしかなかったのだけど、
やっぱり、元気なほのさんを、一番苦手な季節に預けるということは、
もうなんとも不安で不安で。

でもそこは5歳になったほのさん。

あたしだって、かぞくのために きょうりょくするんだから!

と、むしろとうさんかあさんを励ましてくれるくらい、
頼もしさも見せながら。





レスパイト3日目の朝。
かあさんが病院へつくと、先生や看護師さんに取り囲まれているほのさん……。

どどどうした……と駆け寄ると、
朝方から痰が詰まっているとのこと。

それで、みんなでなんとか痰をだそうと格闘していてくれたようで。

急いで排痰吸引してみると、
「もうあんまり引けない」ということだったけど、
かなりズルズル引けたので、
いつもどおり、かあさんと頑張って排痰すれば
半日ぐらいでよくなるんじゃないかと思ったのだけど。

普段は使っていない酸素を2ℓ流していてもサチュレーションが不安定になり、
見ただけでも、胸の上りが明らかに悪くなってきて、
朝来たときよりも、急激に悪くなってきている感じがして、
おうちにいても起きる、いつもの痰詰りの経過に比べてかなり悪いので、
もろもろの検査をしてもらったところ、
二酸化炭素もかなり溜まっているということで、
すぐに病院の呼吸器につけかえ、
なんらかの感染の可能性も考えて点滴も始まった。

できる限りの手を打ってもらって、
できる限り「早い対応」を取った、という感じがして、
このままよくなりますようにと祈りながら、
面会時間終了の夜9時に病院を後にした。


翌朝、病院に着くと、目を疑った。

酸素濃度は80%になり、
おしっこの管も入って、
開放された胃チューブからは、血やらなんやらが入り混じった、
みたことのないくらい汚い色の内容物が戻って来ていた。

主治医から胸部レントゲンの画像を見ながら説明があった。

両肺のほぼ全部がつまっていて、
右肺のほんの一部で呼吸している状態。
そこがいつ詰まってもおかしくないし、
かなり高濃度の酸素を流しているとはいえ、
この状態で呼吸できているのが不思議なくらい、と。

レントゲンの画像は、両肺とものっぺりと真っ白く、
聴診してみると、ほのさんの胸の音とは思えないくらい、
両肺とも「静か」で、エアーの音も、痰の雑音も、
何にも聞こえなかった。

毎日、何度も何度も聴いている、ほのさんの胸の音。

その音を聴いたら、
ほのさんがどれだけ辛い状態かはすぐにわかった。



主治医からは、「付き添い」の提案があった。

ほのさんの病院は「完全看護」なので、
面会時間終了の夜9時がきたら帰らなくてはならないのだが、
個室に移って付き添ってもいいし、
このままの部屋で付き添ってもいいし、
いつものように自分たちに任せてもらって帰ってもいい、とのこと。

とうさんもかあさんも、もちろん「付き添い」を希望した。

個室に移ると、急変した時に対応が遅くなるので、
そのままの部屋で、付き添わせてもらうことにした。

もちろん、一晩中、
「排痰」するために。


注入もすべてストップ、
おしっこもカテーテルが留置されているから、
排痰だけに集中できる。

でも、あまりやりすぎてほのさんに負担になりすぎてもいけない。

ということで、1回の排痰最大20分、
40分あけて、また排痰。
そうすれば1時間ごとになってわかりやすい。

そうして、とうさんと協力して、
40分おきの排痰を始めた。



万が一のことも考えられる状態だったけど、
ほのさんは、いつものように、

「かあさん、たんとって」

という顔で、
いつもよりも青白かったけど、
「あきらめた」感じは全くなく。

それだけが、救いだった。

だから、
「ほのさん、たんはつまったって、とればまた
げんきいっぱいに なるんだから だいじょうぶ」

と、半分は自分に言い聞かせながら、
本当に無我夢中、文字通り「必死」の排痰が続いた。

日付が変わるころには、
右肺の下の方にエアーが入り始めた。

希望が見えた。

引き続き、40分おきの排痰……。

空が白けてくる頃だったか、
左肺にもエアーが入り始めた。

エアーが入り始めると、痰が動き出して取れだし、
どんどんとエアーが入る場所が増えてきた。


病院が動き出して、朝一番でレントゲンを撮ると、
聴診の通り、両肺とも白さが抜けていた。
酷く詰まっているのは、左肺の下の方だけ。


その画像を見て、ホッとした。
みんなとても喜んだ。

それからも、40分おきの排痰を三日三晩続けた。

画像をみて明らかに排痰の効果が出てから、
先生たちが熱心に排痰に取り組んでくれるようになった。

そのうち、看護師さんたちも
「おかあさん、おしえてください」と言って、
真剣に取り組んでくれるようになった。



そうして元気におうちに帰ってきた。

帰ってからは、こんな出来事がウソのように、
エアーは肺の隅々までいきわたって、
ものすごく調子がいい。

本人も、ホッと安心した様子で、
すこしふとったかな?
とみんなに言われるほど。


レスパイト中に起きた、今回の痰詰り。

色々な思いはあるが、
ほのさんを失うわけにはいかない、と、
先生や看護師さんたちが真剣にほのさんのいのちに向き合ってくれたことに、
心から感謝している。

こんな「心からの感謝」は、正直、はじめてかもしれない。

もちろん、これまで入院中にここまでのいのちの危機に直面したことはなかったから。

ほのさんの「厄介な痰」と真剣に向き合ってくれたことに、
心から感謝しているし、
かあさんが、一番、向き合ってほしいと願っていたことなのだから。




結局、ほのさんは生きてくれた。

よかった。

それ以上に、
それ以外に、
なにもない。



一晩で、すこぶる改善したほのさんのレントゲン画像を見て、
かあさんたちの排痰を、
「気管支鏡なみ!」と褒めてくれる先生もいた。

でも、そんなんじゃない。

おうちにいても、ほのさんの痰はよく詰まる。

そのたびに、どうしたら取れるのか、
どうしたら詰まらないで済むのか、
ほのさんに聞きながら、
あーでもない、こーでもないと、
5年間を過ごしてきた。

詰まらせないための努力、工夫。

直接的には痰とは無関係に思えることが効果的だったりもした。

どれもこれもが、小さいちいさい積み重ね。

そうしてほのさんは、日々の小康を保って、

元気に、楽しく暮らしてきたのだ。


「おかあさんが一番」とはよく聞くセリフだけど、

いつも一緒にいるかあさんが一番にならなくては、

ほのさんは生きてこれなかったし、

それは「母心」からそうして丁寧にやってきたというよりも、

ほのさんが「生きる」ために必要だからやってきたことであり、

そして、それは「技術」というよりも、

ただただ、ほのさんを大切に思う気持ち、愛情、あるいは「母心」に

突き動かされてきたことだ。



生きるために必要なことは、

誰が一番などということではなく、

「何心」などではなく、

どこにいても最低限、行われなければならないことだと思っている。


ほのさんのような子にとって、

「生きるために必要なこと」=「ケア」なんだと思う。



ほのさんが「生きたい」と願っているあいだ、

かあさんはどうしたら、守ってあげられるのだろうか。

「生きたい」という、たったひとつの、

ほのさんの心からの、願いを。
by honohono1017 | 2012-12-10 16:06 | Life
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