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ほのさんのバラ色在宅生活


低酸素脳症、人工呼吸器をつけた娘とのナナコロビヤオキ的泣き笑いのバラ色在宅ライフ
by honohono1017
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Mちゃん合宿記。

3月12日。

待ちにまった、出会いの日。

以前、ほのさんに宅急便で新雪をおくってくれた、
医学生のMちゃんが、
1泊2日で、ほのさんの生活をみにきてくれた。

(4月からは研修医として勤務される予定……
ほのさんのマネして、ちゃんづけで呼んでしまうという失礼……)


Mちゃんが雪を送ってくれたときの日記は コチラ

Mちゃんが、ほのさんのことを初めて知ってくれたのは、
以前、臓器移植や小児在宅の問題にふれたとある雑誌の記事。

その記事が掲載されたのも、かれこれ3年以上前の話なのだが。

来年から研修医として勤務する予定のMちゃん。

医師となる前に、
患者さんの生活や家族の率直な思いに触れておかなくては、
という思いから、
学生時代最後の時間を利用してそのような機会を持とうと思った時に、
ほのさんの顔を思い浮かべてくれたらしい。



実際の医師が、
患者さんの生活や家族の思いなどを思い浮かべることもとても難しいことだし、
仕事が始まってしまえば地域に出て、
ゆっくりとその生活に寄り添うことも難しくなることもわかって、
いまのうちに、というMちゃんの考えにもカンゲキしたが、
実際にお会いしたMちゃんは、
これまた、ものすごく優しくしっかりとしたお姉さんで。



せっかく貴重な時間を一緒に過ごしてくれるということなので、
ほのさんがいろんな予定の詰まった曜日を設定し、
どんなふうにほのさんがおうちでの生活を楽しんでいるかをみてもらうことにした。


まずは、朝イチのお風呂。

ヘルパーさん2人とかあさんに介助されながら、
リビングの真ん中にビニールプールを広げての入浴。

力持ちのヘルパーTさん(メンズ)に優しく抱っこされ、
そのあとを、人工呼吸器の回路を持って追いかけてくれるヘルパーAさん。

無事、ぽちゃんとお湯に入って、
Mちゃんにぴちゃぴちゃとお湯をかけてもらう、ほのさん。

いかにも、満足げ。。

いつものようにピカピカになって、お湯から上がると、
お着替えのお手伝いもしてもらう。

気管切開部のYガーゼ交換、ドライヤー、排痰&吸引、体位交換……
すると、ヘルパーさんがお昼の栄養剤を運んできてくれて、
あっという間に、いただきます。

Mちゃんようこそ、はじめまして、から1時間足らずで、
あっという間に入浴介助と一連のケアが済む。

自己紹介などもままならないほど慌しかったけど、
ケアの間中、ずっと手を握ったり頭を撫でて、
優しくしてくれるMちゃんに、
ほのさんはすぐに心を許していた。
(っていうか、うっとりとさえしていた……)




ほのさんは普段、
かあさんやとうさんが、痰を取ったり、なにかしてあげても、
「ありがとう」なんていう雰囲気さえあまり見せないのだけど、
この日ばかりは、かあさんが痰を取るそばから、
ほのさんの頭を撫でてくれているMちゃんが、

「ほのさん、よかったねえ、きもちいいねえ、
おかあさんにやってもらえて、うれしいねえ」

と、毎回、必ずそうやってほのさんに話しかけてくれるので、
なんかしらん、ほのさんもいつのまにか、
ふふーん、ふふーん、
と甘い(?)声になって、
珍しく、
「ありがとう」
と言ってないわけでもなさそう(笑)



ほのさんの吸引などをしていると、
大抵、それを見た人たちは、
「かわいそうに、だいじょうぶ」とか、
「つらいねえ」
と声をかけてくれるのだが、
Mちゃんは、

「すっきりして、うれしいねえ」

と言うわけだ。

それがねえ、もうかあさんにしてみれば、
なんとも、嬉しくて。

陰圧のカテーテルを喉の穴に入れられるわけだから、
吸引は本人にとって辛くないはずがないわけで。

それでも、ほのさんにはどうしてもそれは欠かせないことだから。

できれば、「つらい、つらい」ではなくて、
「つらいけど、がんばったら すっきりする」
と思って欲しいと、ずっと思ってきた。

幸い、排痰のときにあっちこっち向かされるのも、
「かあさんがあそんでくれてる」と思っているようで、
ほとんど嫌がることもないほのさんなのだが、
そんな思いもあって、
Mちゃんのそのことばには、妙に感激してしまった。


ほのさんがミルクを飲んでいる間は、
Mちゃんの学生生活の話などいろいろ聞いたりして、
楽しい時間だった。

我が家に直アポをとって泊りに来てしまうくらいだから、
Mちゃんは相当アクティブ&アグレッシブなようで、
そしてなんともハッキリとした、ステキ女子。

ああ、こんなステキな人がお医者さんになるのねえ……
と、ため息が出てしまうほど。


午後は、ほのさん「待ってました」のリハビリの時間。

Mちゃん合宿記。_f0199379_16301019.jpg
 

横を向かされると、必ず驚いた顔をするほのさん。
でも今日は、Mちゃんが回路を持ってくれてるよ。

リハビリ開始直後、S先生が、
痛い右足首を動かしたので、ポロリと涙を流してしまったほのさん。

ああ、これでご機嫌ナナメになってしまったら困るなあ……と思ったけど、
椅子に座ったらいつものように、
右手首を動かしてみせて、
スイッチもピーピー鳴らしてた。
(Mちゃんに、いいところ見せられて、ホッと胸を撫で下ろすかあさん……)



Mちゃん合宿記。_f0199379_16381415.jpg

その後は、頑張ったごほうびに、
Mちゃんに、お気に入りの絵本「バルバルさん」を読んでもらって、
上機嫌のほのさん。
(あいかわらず、うっとり……)


夜は、かあさんが起きてくる2時半過ぎまで、
Mちゃんがずっと頭を撫でてお話していてくれたようで、
ほのさんは嬉しすぎて眠れなかった様子。

翌朝は、なんだか眠たそうな感じで、
何を言っても、
ふっふーん、ふっふーん、
と、お腹に力のはいらない声で返事をするほのさん。

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ほのさん、きょうのくつした、どっちにする?

と、女子同士、今朝のコーディネートの相談中。



2日目は、午前中にヘルパーさん。

ヘルパーAさん(メンズ)と共に、
体拭き、お着替えをしている間も、
Mちゃんは、ほのさんに話しかけながら見守ってくれて。


ヘルパーAさん(メンズ)にも、
ほのちゃん、けさはなんだか ねむたそうだね。

と言われていたほのさん。

ふふん、なんでねむたそうなのか、
かあさんは、あえて いわないわよー、と。

その後、ヘルパーAさん(メンズ)とかあさんが一緒に排痰をして。

注入の準備や吸引ビンの洗浄、物品補充などをしてもらって、
ヘルパーさん終了。



午後は、訪問看護師さんNさんが来てくれた。

Mちゃん合宿記。_f0199379_1785069.jpg

今日の日にぴったりな絵本、
「さるのせんせいと へびのかんごふさん」を読んでもらった。

その後は、ほのさん得意の「おりがみビリビリ」で、
あるものを作った。

Mちゃん合宿記。_f0199379_1712416.jpg

最近、沖縄のちゅら海水族館からやってきた、じんべいざめさんを
作ってみたものの、
Mちゃんと選んだセーターと同じ色の折り紙を選んでしまうという失敗……
(沖縄から送ってくれたTおじさん、見てますか 笑)





そんなこんなで、瞬く間に過ぎていった2日間。

Mちゃんが帰り支度をし始めるころには、
すっかり淋しくなって静かになってしまったほのさん。
(あるいは、遊びつかれて眠ってしまったか……)


Mちゃんは、

ほのさんがしっかりとここで小社会を築いていた。
ほのさんの楽しい生活の中に、ちゃんと医療があって嬉しかった。
自分が医師という仕事を選んでよかったと思った。

と、感想を寄せてくれた。





「楽しい生活の中に医療がある」

それはなかなか難しいことであり、
それを目指してほのさんは4年前、おうちに帰ってきた。

ほのさんの当たり前の生活が「楽しい」もので、
そこに必要な医療がちゃんとある、
そんなふうにMちゃんの目に映った事は、
なんがかとても誇らしかった。

それと同時に、
なんともいえない幸福感でいっぱいになった。


ほのさんのキャラを誰よりもわかって接してくれるヘルパーさんたち、
きちんとほのさんの体調を見守って、そのうえ楽しい遊びをしてくれる看護師さん、
ほのさんのヤル気と可能性を引き出してくれるリハの先生……

ほのさんと、とうさんかあさんは、
そんなあたたかい人たちに支えられて暮らしている。

あたたかい人たちに支えられて暮らしている、
その日常。

Mちゃんという視点が入ったことで、
かあさんはその当たり前の「日常」の
ありがたさ、愛しさを、
いつになくひしひしと感じて、
感謝するとともに、
ほのさんのいのちがいま、ここに、
こうして在ることを、本当にほんとうに嬉しく思った。



Mちゃんはステキな人だから、
我が家のこの「日常」に触れたことで、
ほの家以外にも、
医療が常に必要でも、家族とともに幸せに暮らしているたくさんの家族が
あちこちにいるということに、
きっと思いを馳せたことだろう。

そして、医師や医療者、介護職、
たくさんの人たちの使命や、
そのお仕事の素晴らしさを感じてくれたに違いない。



かあさんも、我が家の生活を「見せる」というつもりであったけど、
実はMちゃんの視点が入ったことで、
当たり前になっていたことの有難さや、
いのちが関係性の中で存在し、
育まれているという大切なことにあらためて気付かされて、
本当に「出会い」は何にも代えがたいものだなあと、つくづく思った。




医師という職業は、過酷だ。
いろんな、意味で。

国家資格を取得しても、
「研修医」になってさまざまな研修を積み、
専門を選んで、
たくさんの患者さんをみて、
だんだんと育っていく。

患者を診断したり、治療方針を決める大事な立場なのに、
看護師に比べたら、
患者にとっては、少し遠い存在だ。

いろんな思いがあって志して、
努力して努力して、
医師になっているのだ。

そう思うと、
ほのさんの主治医や病院の先生方に対する見方も、
なんだか少し変わった気がする。





玄関で握手をして、
お別れは少し淋しくて(涙がでそうだったけど)、
それでも歩き出していったMちゃんが、
とっても、頼もしく見えたわけです。


そして、今日。

さきほど、医師国家試験の合格発表があり、

「合格しました!」

と連絡が。



Mちゃん、合格おめでとう!

今度会う時は、
M先生、ですね。


ほのさんとここから、いつも応援しています。

ほのさんも、Mちゃんに負けないように、
またいろいろなことに、挑戦していくよ。


また、会う日まで。





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