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ほのさんのバラ色在宅生活


低酸素脳症、人工呼吸器をつけた娘とのナナコロビヤオキ的泣き笑いのバラ色在宅ライフ
by honohono1017
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どうしようもなく、辛くて幸せな記憶の話。

毎年、暮れになると悩まされる、
原因不明の、胃痛、吐き気、めまい……。

今年もついにそんな時期が来た。

ほのさんは3年連続11月に不調、
かあさんは3年連続12月に不調、
そんなことで季節感、出したくないわ……
と、ほのさんと2人、ツッコミを入れる。。

ほのさんを置いて病院に行くわけにもいかんから、
体弱いくせに、「寝てれば治る」とか、
そこだけなぜかマッチョな考で。
(実際、万年睡眠足りてないくせにね 汗)

ところがところが2週間目に突入しても、
よくなるどころか動いただけで、
いやいや目を開いただけで世界はグルグル回り、
悪寒とともに酷い吐き気がー。

まあそこで家の薬箱をひっくり返し、
いつ買ったのかも不明の胃薬を飲んでみたら。

あれれ、2日目にして結構かいちょー。

薬ってすごいね。

寝てもいられないのだから、
長引く前に、これからは手を打とうと、反省(4年目にして、ね……)。



さて、かあさんが不調になる前のお話。

ほのさんおばたんが来てくれて、
ほのさんは、おばたんと2人、お留守番をしてくれた。

それで、とうさんとかあさんは、
ひさしぶりーに、2人してお出かけしたわけです。

とうさんもかあさんも、珈琲好き、甘い物好きですから、
まあ当然、カフェに行ったわけです。

最初は、久しぶりのお出かけということもあり、
ほのさんがいい子で、おばたんとお留守番してくれているという嬉しさもあり、
選んだスイーツが激ウマだったこともあり、
珍しく(?)とうさんと会話も弾み……。

そのうちちょっと落ち着いて、
珈琲をゆっくり飲みながら、
店内の楽しげなクリスマスの雰囲気や、
ガラス張りの店の外を行き交う人たちを眺めていたら、
ふと、ある記憶が蘇ったのです。



4年前のちょうど今頃。
ほのさんが生まれた年の、冬のはじめ。

かあさんは、実家の母と、この店で待ち合わせをしていた。

ほのさんは生まれてすぐにNICUに入っていたから、
当然、お宮参りに行くこともできず。

それでも、あの機械だらけのあの病室にいても、
なんとかお宮参り気分、
みんな、あなたが生まれてきてくれて嬉しいのよ、
という気持ちを、
ほのさんに味わって欲しくて。

それで、かあさんが3歳の七五三の時に着た着物をほのさんに着せて、
写真だけでもNICUで撮らせてもらおうと、
その着物を大事に保管してくれていた母に届けてもらうための待ち合わせ。

ほのさんが生まれて1ヶ月。
かあさんの心はいろいろと揺れ動いて、
辛いこともたくさんあったけど、
そんなささやかなイベントで、
わずかかもしれないけれど、確かに心は少し躍っていたのだ。

だけど、母と待ち合わせをして着物を受け取り、
その着物の懐かしい柄を見、
しょうのうの匂いを嗅いで、
自分の幼かった頃の思い出や、
幸せな家族の記憶が自然と蘇れば、
そこにいる自分がなんとも惨めで、
母に対してもどうしてこんなに寂しい思いをさせているのだろうかと、
本当にその場で消えて無くなりたかった。


ものすごく、
ものすごく、さびしかった。


そうして味のわからない珈琲を飲み、
母にありがとうとも、ごめんねとも言えず別れ、
人気の無い駅のホームで咽び泣いた。




そんなさびしい記憶が、ふと蘇ったのだが、
不思議と心はあたたかかった。

そして、はじめてその時のことを、
目の前で珈琲を飲んでいるとうさんに聞かせた。



「あのとき、ほんとうにさびしかった。
すごくすごく、さびしかった。」と。



おそらく、そんな風に自分の気持ちを素直に話したのは、
ほのさんが生まれてからこの4年間で、
はじめてのことじゃないかと思う。


それを聞いたとうさんも、
すこし笑って、

あの頃は、ほんとうに辛かったね。
ほのかもよくがんばったけど、
りさも、ほんとうによくがんばったね。

と言った。

辛かったよね、と言い合って、
そうして笑い合えるのは、
どうしようもなく、幸せだ。

そう思った。



激しい苦しみや辛さのさなかにあっては、
そのことを噛み締めたり、共有しあったりすることもままならなくて。

それでもこうしてその記憶を消し去ることも無く、
4年後の冬まで鍵をかけて大切にしまっておけたのは、
どんなときもほのさんのいのちの光りが、
力強く輝いて、
とうさんとかあさんを導いてくれていたからだろうな。


4年前のあの日に感じた、
得体の知れないさびしさは、
ほのさんの「いのちのかたち」に対してではなかった。

いまは、
ほのさん、と言って手を伸ばせば、
いつも温かくやわらかいほのさんのほっぺを撫でてやれる。

あったかい、我が家で。



みんな一緒に歩むこの毎日もかけがえのないものだけど、
さみしくてさみしくてどうしようもなかったあの日々も、
大切な、たいせつな、家族の歴史。


どうしようもなく、辛くて幸せな記憶の話。_f0199379_13482418.jpg



今年のクリスマス。
いつもの、白くて赤いのがのっているケーキではなくて、
ほのさんは、はじめての「茶色いケーキ」を楽しみにしている。



(そうそう、おばたんとのお留守番のはなし。
痰もちゃんと出して、
うんちまでして、
ものすごーく、いい子にできてたのに。

とうさんとかあさんが、
かえったよー、ほのさnただいまー。
と声をかけるや否や、
心拍を120越えに……。

どした、どした、と、
おしっこかも、うんちかも、とお腹を見るけどペタンコ、
それじゃあ痰か、と吸引するけど引けず……。

あれあれほのさん、どうしたの。
おばたんといい子にできたんでしょ?
とうさんとかあさん、おかげでたのしかったよ。

と話しているうちに、
心拍は100を切り。

ものすごく頑張って、いい子にお留守番してたんだけど、
きっと、とうさんとかあさんの声を聞いて、

うえーん。

って、なっちゃったんだね。
なんともかわいい、4歳児。)




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by honohono1017 | 2011-12-15 13:58 | Life
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