ほのさんのバラ色在宅生活 |
|
「だんだん」なんかもしれないけれど、
気付くと「急に」感じる。 昼間は気温が上がっても、 夜の風は、秋そのもの。 偏頭痛にやられて、 早々と寝室で横になった昨晩。 北向きの窓からは、 ザアザアと降る雨の音とともに、 肌寒いほどの風が入ってきた。 ああ、このまま寝たら完全に風邪引くな…… と思いながらも、 窓を閉めるために、なかなか起き上がれない。 一雨ごとに、秋が深まるんだろうな、などと思いながら、 無心に雨の音に聞き入っていると、 ふわっと「雨の匂い」がしてきた。 「雨の匂い」。 その正体がなんなのか、いまだにわからないけど、 雨が落ちてくる少し前にその匂いがしてきたり、 湿気を帯びた緑の匂いなのか、土の匂いなのか、 とにかく小さな頃から、 「雨の匂い」には敏感だ。 そして、匂いや音は、 不思議と「記憶」を運んでくる。 不意に。 秋の気配が運んでくる記憶は、 ほのさんが、お腹の中にいた頃の、 それはそれは、幸せな、記憶。 妊娠がわかってから間もなく、 暑いあつい夏の終わりまで、 かあさんは、お腹の中のほのさんと、 ずっと病院のベッドの上で、 毎日白い天井と、 窓から見える栗の木を眺めていた。 そして、 秋の風に変わる頃、 ようやく我が家に帰ることができて、 ほのさんが生まれるまでの間、 わずかではあったけれど穏やかな時間を過ごしたのだ。 昼間はまだ暑くて、 お腹をポンポンしながら、 あついね、あついね、 と話しかけて、 夕方になると、 かぜがすずしくなってきたから、 おさんぽにでかけようか、 ほのちゃん。 と言って、何とはなしに、 家の近所をのんびり歩いた。 すっかりあきのくもになったね。 と言って、 綿のように薄く伸びた雲を見上げた。 そしてお腹の中の「ほのちゃん」は、 かあさんの呼びかけに、 不思議といつも、 お腹をポーンと蹴って、 こたえてくれた。 そんな果てしなく幸せな記憶が、 不意に蘇った晩。 静かに、 とめどなく涙が溢れてしまった。 悲しいのではない。 リビングからは、 ほのさんの音、 モニターの音と一緒に、 ほのさんの声がかすかに聞こえてくる。 もう、4年前の、 秋の、はなし。 それでも、「ほのちゃん」が、 かあさんのお腹の中でぐるんとうねる感じは、 ぺたんこになった今のお腹でも、 しっかりと覚えている。 あんなによく、 元気よく、 動き回っていたのは、 お腹から出てきたら、 思い通りに動くことができなくなると、 ひょっとしたら知っていたからなのかな、とか。 強がりではなく、 かあさんは、今のほのさんが大好きだし、 動いてくれればいいのに、 なんて、 一度だって思ったことはないのに、 どうして秋の風に、涙するの、 と、自分に問うてみたり。 いろんな思いがポッと浮かんでは消え、 浮かんでは消え、 結局、涙が、 何もかも流していった。 残ったのは、 少しの寂しさと、 どことなく温かくて、やわらかい感じ。 そうしてまた、 朝が、来た。 いつもどおりの、朝が。 こうやって日々が、 いつまでも続きますようにと、 神さまではなくて、 あてもなく、祈ってみる。 八月の、おわり。 読んでくれてありがとう。 ポチッとな↓ も、お願い! にほんブログ村 にほんブログ村 このブログ「ほのさんのバラ色在宅生活」が 本になりました♪ 「ほのさんのいのちを知って」 絶賛発売中☆ 紀伊国屋書店 TSUTAYA ONLINE eb!STORE アマゾンでも入荷したみたい。送料無料ですので、ぜひ。 ↓ ↓ ↓ ↓ アマゾンで「ほの本」購入
by honohono1017
| 2011-08-31 11:13
| Life
|
以前の記事
カテゴリ
最新のトラックバック
お気に入りブログ
ライフログ
タグ
検索
その他のジャンル
ブログパーツ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ファン申請 |
||