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ほのさんのバラ色在宅生活


低酸素脳症、人工呼吸器をつけた娘とのナナコロビヤオキ的泣き笑いのバラ色在宅ライフ
by honohono1017
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ほのさんの目。夢見る少女じゃ、いられない。

ほのさんは、二年前の3月14日に、
気管切開の手術をした。

それまでは、口から人工呼吸器が入っていたので、
NICUに入院中のほのさんの吸引など、
本格的なケアの特訓は、
術後になってからだった。

手術前、かあさんにできたことのひとつに、
目のケアがあった。

瞬きをしないほのさん。

目やにをとって、
目薬をさして、眼軟膏をつけてあげる。

正直、
はじめのうちは、
かあさんは、その開くことのないほのさんの目に
触れることすら、怖かった。

自分についている目とかわらないはずの、
ほのさんの目。

「見えない」ということが、
かあさんを、怖くさせていたのだろうか。

だが、かあさんはいつも、
ほのさんの目のケアをするときに、

「ほのさん、ほのさんのお目めは大切な、たいせつな
お目めだから、大切にたいせつに、しまっておくんだよ」

と、必ずほのさんに言った。

かあさんはおそらく、自分自身に言い聞かせていたのだろう。



そして、気管切開の手術も無事に終わった。

因果関係はよくわからないが、
ほのさんは手術のあと、
よく目を開くようになった。

はじめてしっかりと見る、
ほのさんの、目。

かあさんは、ほのさんと目を合わせることが、
こわかった。

ほのさんがどんな目をしているのか
見るのが怖かったのもあるし、
そんな自分を、そんな母親を、
ほのさんに見られるのも、
怖かったのだろう。

そんな時、受け持ち看護師Tさんに、
「ほのさんの目がかわかないように、
眼帯を作ってみませんか」
と、言われた。

眼帯、と言われると、
かあさんがとっさに思い浮かべたのは、ジャックスパロウ。
海賊がしているような、ヤツ。

いやいや、それじゃあ、海賊だし、
海賊風じゃなければ、病人風になってしまう。

そうじゃあなくて。

Tさんとも相談して、
かあさんは、こんなのを作った。

ほのさんの目。夢見る少女じゃ、いられない。_f0199379_11314223.jpg



ほのさんは、目で、見ない。

動くこともなく、話すこともない。

でも、寝ているのでもない。

だとすると、ほのさんは、
どうしているのか……。

かあさんは、そんなことを思いながら、
この眼帯を作っていた。

そうだ、きっと、ほのさんは、
夢見ている……
そんなことを思ったのか。

イメージは、機内のセレブ風。

あたし、くつろいでいるから、
じゃましないでね。


そんなことを考えながら、
ひと針、ひと針、
ほのさんのために、縫った。

そんなことを思っていると、
ほのさんの目と、かあさんの目は、
自然と、会う、ようになった。

ほのさんの目は、
「みえない目」ではなかった。

よく見ると、
とても甘えたような、
ほんとうに何かを訴えているような、
「話しかける目」だった。

ほんとうに、愛おしかった。



最近では、あまり使わなくなった、この眼帯。

そして、ほのさんはこのごろ、
よく眼球を動かす。

キョロキョロ、する。

それが、何の動きか、かあさんは知らない。


だが、ほのさんは
「夢見る」だけでは物足りず、
この世の中を、探りはじめている。


ほのさんの目。夢見る少女じゃ、いられない。_f0199379_1157612.jpg

ほのさん、
かあさんのかおが、わかるかい。



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by honohono1017 | 2010-04-25 11:41 | Life
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