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ほのさんのバラ色在宅生活


低酸素脳症、人工呼吸器をつけた娘とのナナコロビヤオキ的泣き笑いのバラ色在宅ライフ
by honohono1017
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いのちの誕生を思い出そう…その2

ほのさんをおそらく産んだのが
2007年10月17日16時28分。

その約4時間後。
産科病棟の個室で休んでいたとうさんとかあさんは、
やっと、ほのさんに会えると言われた。

とうさんとかあさんは、ほのさんが「生きている」ということだけを
分娩室で産科のN先生から聞いていたから、
これほどまでに深刻な事態を予想できるはずもなく、
「会えます」と言われると、
「大丈夫なんだ、きっと」と思ってしまう。
だって、会えるんだもの。
生きてるんだもの。

車いすに乗って、NICUに案内された。

少し、時間はかかるけど、元気にお家に帰れる。
我が子はどんな顔をしているかな。
ちゃんと私がかあさんですって言えるかな…。

色々な考えが頭をよぎったが、
そのときのほのさんの状態についての心配より、
我が子との初対面の
期待が勝っていた。
全く、勝っていた。

しかし…

とうさんとかあさんが通されたのは、
何人もの医師と看護師がずらっと肩をならべて座っている部屋だった。
あの優しい産科のN先生もいらした。
とても厳しい表情で。

かあさんは、そのN先生のお顔をみて、もう、わかった。
ただごとじゃない。
これは、深刻なんだ。

NICUでほのさんの主治医となったO先生が話し始める。
O先生は、女性の先生だが、とても厳しい口調で、
もう、
かあさんの耳には、
あまり、
聞こえてこない。

難しいことをたくさん言われたような気もするが、
かろうじてわかったのは、
「10分間の心配停止、至急挿管して蘇生したが、
今後、命が助かるかどうかは五分五分、
助かったとしてもとても重篤な障害、とても高い確率でが残る…」

かあさんは、もう、
自分が、
みるみる
小さく小さくなっていくように感じた。

かあさんの、大切な大切な
ほのさん。
今朝まで、
かあさんの、お腹を元気に蹴っていたよね?

ほのさん、どうしたの。
なんでなの。

「何か質問はありますか」と言われ、
とうさんが、
「もう、とにかく、ほのかに会わせてください」と
精一杯、声を振り絞って言ってくれた。

2重のドアをくぐって、
マスクをして、手洗いをして、
これが、娘のいるところ?
がんばってがんばって、お腹の中でやっと2580グラムにもなって、
娘がどうして、こんな機械ばかりの部屋にいるの?

私はほのさんのかあさんだというのに、
たくさんの保育器が並ぶNICUの中で、
この子がほのさんだ、私の娘だ、と
言い当てることもできない。

準備が整って、案内されたのは、NICUの奥の方だった。

目の前に、かあさんの、
ほのさんが、いる。
へその緒から管が入れられ、
モニターがつけられ、
口から挿管され、
体が痙攣している。

それが、ほのさんだった。

かあさんは、そのお顔に、見覚えがあった。

お腹の中のほのさんが、小さい小さいといわれ、
安静の入院生活が続き、すごく落ち込んでいた日。
エコー検査をしている時に、先生が、
「今日はこっち見てるから、いい写真が撮れる。
あれー、なんかお母さんに似ているかな?」と、
おそらくかあさんを励まそうとしてそう言ってくれたのだろうが。
その日のエコー写真のほのさんのお顔が、
なんだか、こどもの顔ではなく、
お地蔵さんとか、弥勒菩薩とか、なんかそんな穏やか~な顔してる、
この子なんで、こんなお顔してるんだろうね~、と
とうさんと笑った。
きっと、お腹の中で、かあさん、もう少し一緒にがんばろう、って
励ましてくれているんだね。
そう思って、いつもそのエコー写真を持ち歩いていた。

機械をいっぱいくっつけられて、
おそらくはとても苦しい思いをして、
産まれてすぐ抱きしめてあげることもできなかった、
いま、ようやく、初めましてのほのさんが、
そのときと、同じお顔をしていた。

かあさんは、そのお顔を見たとき
ああ、ほのさんはあの時からもう、
自分が産まれるときに、ちょっと苦しいことになるということを
知っていたのかもしれないなあ、とふと思った。

保育器の小さな窓から手をいれて、
ほのさんの手を、
握った。
あたたかい。
ほのさんの手。

さっき、O先生から受けた、重い重い宣告。

それも、こうしていると嘘のようだ。

もう、何が本当なのか、わからない。

何がどうなったか、わからない。

ただ、今、ほのさんは、
頑張って、
生きている。

それ以上のことを、
とうさんもかあさんも、
考えることができなかった。

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by honohono1017 | 2009-06-24 21:33 | History
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