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ほのさんのバラ色在宅生活


低酸素脳症、人工呼吸器をつけた娘とのナナコロビヤオキ的泣き笑いのバラ色在宅ライフ
by honohono1017
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晩夏、お祭りで生まれた友情の巻。

8月30日、ほのさん待ちにまったマンションの夏祭り。

昨年の夏、初めて行った時には、
賑わう人たちの声、太鼓の音などに
少しびっくりした様子で、
着いた途端、緊張のあまりおしっこしたくなってた(笑)

でも今年は2度目だし、
先月には学校の夏祭りにも参加して
お祭りの楽しさを存分に味わっていたし、
学校の授業でかき氷を作って食べたので、
今度はマンションのお祭りでかき氷を買って食べてみたい、
という具体的な楽しみもあり。

半日の仕事を終えたとうさんの帰りを待って、
バギーに乗る支度を始めた頃には、
ほのさんは待ちきれずフーンフーン!と
鼻息荒くしていた。

晩夏、お祭りで生まれた友情の巻。_f0199379_2026179.jpg


早々と猛暑が一時退散していたとはいえ、
まだまだ日差しは強い。

会場に着くと、近くの中学校のブラスバンド演奏が始まっていた。

お祭りにふさわしい華やかな楽器の音、
たくさんの子どもたちの声に、
今年のほのさんは、
少し怖くてバギーの中に潜り込むような様子もなく、
かあさんかあさん、とすり寄ってくるような素振りもなかった。

学校生活、たくさんの経験が、
ほのさんを逞しくしていた。



お祭り会場はすごい盛況振り。

大きなほのさんのバギーでは簡単に身動きが取れないほど。

お目当てのかき氷屋さんに、
さてどうやって行ってみようかとしばし公園の前で立ち止まる。

すると、ほのさんの親友Hちゃんのおばあちゃんが、
ほの家の姿を見つけて来てくれた。

いつもは夕飯を届けてくれたり、
ほのさんのお顔を見に来てくれたり、
本当にいつも助けて頂いているのだけど、
おうちの中でお会いすることばかりだったので、
こうしてお日さまの下、楽しいお祭りでお会いしてお話するのは、
特別な嬉しさもあり、
いつも助けて頂いているおかげだとあらためて感謝の気持ちが湧く。


少しすると、小さな女の子2人組みが
ほのさんのバギーに近寄って来て、

びょうきなの?

とかあさんにたずねてきた。

かあさんは、

びょうきじゃないのよ、げんきなんだよ。

と答えると、

じゃあどうしたの?
なおるの?

と矢継ぎ早に質問しながら、
ほのさんの顔の横まで来た。


こういう質問にこたえるのは、むつかしい。

まして、医学的な難しい説明を抜きにして、
ほのさんは、ずっとこの状態であること、
この状態がほのさんの”元気”な状態であること、
それはかわいそうなことではないということ、
みんなとお友だちになれるということ、
それらのことを子どもにわかるように、
ちゃあんと説明することは、
何度聞かれても、むつかしい。

かあさんは、子どもが苦手だ(小声)。

嫌いなんじゃない。

子どもの、鋭い感性、
つまらないことに捉われないモノの見方、
まっすぐな瞳、
それらに接すると自分のつまらなさとかが急に感じられて情けなくなり、
そんなことも含めて全部、見透かされているような気がして、
そう思うと”子ども扱い”などはもちろんできないし、
子どもと接する時は、妙に内心、たじろいでしまう。

まして、ほのさんにはきょうだいがいないから、
子どもと接する機会も少ないし、
この年頃の子がどんな風なのかもわからない。


それでも、そんなかあさんの拙い説明を聞いた2人は、

ふーん、そうなんだ

と言って、しばらく話すと去って行った。

わかったのかな、
わからなかったのかな、
わかったのかもしれないな、
わかってくれたらいいな...






ブラスバンド演奏が終わると、会場が少し空いた。

今がチャンス!とばかりに、
ほのさんお目当てのかき氷屋さんを目指す。

晩夏、お祭りで生まれた友情の巻。_f0199379_2026244.jpg


何味にする?

とおじさんに聞かれ、

ほのさん、本当は練乳ってヤツを試してみたかったんだけど。

残念ながらメニューになくて。

ブルーハワイは授業で経験済みだったので、
そこはオーソドックスにいちご味に。

晩夏、お祭りで生まれた友情の巻。_f0199379_2026231.jpg


れんにゅうが よかったー!

と言ったのか、
それともいちご味がお気に召さなかったのか、
氷ひとかけら、舌に乗せるやいなや、
舌をブルルッとふるわせて、吹いたほのさん...

おかげて口の周りやのど元の呼吸器回路がピンクに染まり(笑)

こうしてほのさんのお楽しみ、お祭りdeかき氷は予想外の展開を見せて終わった。



晩夏、お祭りで生まれた友情の巻。_f0199379_2026335.jpg


舞台ではフラダンスが始まって、
見やすい元の場所に戻った。

するとまた先ほどの女の子2人組みが来て、

地震の時はどうするの?

寝る時はお母さんと一緒?

など、また新しい質問をしてきたと思ったら、

なおるの?

と、また同じ質問を繰り返した。

治るかどうかということが、
やっぱり一番気になるようだ。

治ればいいな、と思ってくれているのかもしれない。

なおらないんだよ。
このままの状態だけど、
大きくなってるし、
できることもたくさんあるんだよ。

そうこたえた。

2人に歳を聞いてみると、
なんと!ほのさんと同じ1年生だという。

ほんとー⁈ ほのさんも1年生なのよ!
おんなじたね!

妙に嬉しかった。

ほのさんと、同級生。
もしほのさんが支援学校ではなくて、
近くの小学校に通っていたとしたら、
この子たちと手を繋いで通っていたかもしれない。
放課後、一緒に遊んでいたかもしれない。

そんな子たちと知り合えて嬉しかった反面、
もっと地域でたくさんお友だちを作らせてやりたい、
たくさん遊ばせてやりたい、
そんな気持ちになった。





すると今度は一人のご婦人に名前を呼ばれた。

振り返ると、知らない方だったが、
ほのさんの名前も、
我が家の部屋番号もご存知で、
聞けばこのマンションの民生委員をしていらっしゃるとのこと。

我が家とは違う棟の担当だということだが、
困った時にはなんでも言ってちょうだいね、
みんながいるから、心配しないでね、
とほのさんに優しく話しかけてくださった。

そして、お祭りに来てくれてありがとう、
涙が出るほど嬉しいわ、
と何度も何度もおっしゃった。

子どもがお祭りを楽しみにすること、
親が、そんな子どもを連れてお祭りに行って一緒に楽しむことは、
本当に当たり前のことなのだが、
ほのさんがお祭りに参加したことを、
こんな風に喜んでくださって本当に嬉しかったし、
こういう方が近くにいて下さることで、
我が家はどんなに心強いことか。


民生委員さんが立ち去るのを待ってましたとばかりに、
またあの女の子たちが来た。

また、なおるの?と聞いてくるかしらん、
と思ったら今度は、

ほのかちゃん、ビンゴやる?

と言ってきた(笑)

(お祭りの一番最後にビンゴ大会があります)

あまりにフツーに、

ほのかちゃん

と呼んでくれたこと、

ビンゴやる?

というあまりに唐突な質問、
可愛らしい質問に、
なんだかものすごーく嬉しくなって。

ほのさんね、寒がりだから、
夜のビンゴまではいられないかな。

そっか、さむがりなの。

あ、このタオル、あたしももってる!

あ、この人形かわいいね。
あたしはね、くまさんと、○○と○○の
人形もってるよー。

ほのかちゃんのリボン、かわいい!


と、ひじょーに女子な会話がはずみ。

すると、

あ、ほのかちゃん、いまおはなしした!

うん、いま、歯のところも動いてた!

と、嬉しくてうーんうーんとお話してるほのさんの声、
よく聞いてないとお祭りの音にかき消されてもおかしくない、ほのさんの声を、
ちゃあんと聞いてくれたのだ!

ほのさんの声が届いた!

そう思うと、かあさんはもう小躍りしたくなるほどだった。

ほのさんも2人に自分の声が届いたことが嬉しかったのか、
うんうーん、とおしゃべりを続けていた。


もうかあさんは、お役御免。
説明や通訳はいらないな、と思った。

子どもたちはこうやって友だちになっていくんだなあって、
感激した。



ほのさんが聴いてみたかったオカリナ演奏も終わり、
夕方の風も一層涼しくなってきたので、
そろそろ帰ろうか、と相談していると、
また女の子2人組みが、

ほのかちゃん、ビンゴやる?

と再び(笑)

あのね、涼しくなってきたから、
そろそろ帰ろうと思ってたのよ。

と言うと、
少し残念そうな顔をするので、

じゃあ、握手してみてくれる?

とお願いしてみると、

えー?できるの?
ほのかちゃん、手あるの?

と。

きっと、たくさんの掛け物にくるまれてバギーに乗っているなら、
ほのさんのカラダが一体どうなってるんだろう???
と、はてながいっぱいだったんだろう。

やだ〜手、あるよ〜。みんなと一緒だよ〜。

と笑いながら、ほのさんの手を出すと、2人は、

うわ〜、ほのかちゃんの手、おっきい!

と言って、そおっとほのさんの手を撫でてくれた。


もっと遊ばせていてあげたいなあと思いつつ、
そろそろ帰らなきゃ。

すると、

帰る時、これ押して行くの?

とほのさんのバギーを見て言うので、

そうよ。そろそろ帰らなきゃいけないんだけど、
押してみる?

と言うと、2人並んでほのさんのバギーを押してくれた。


その光景を後ろから見ていて、
かあさんは本当に嬉しかった。

ほのさんが、ご近所で初めてお友だちを作れたこと。

お友だちがとても素直に、ほのさんのありのままを受け入れてくれたこと。

ごく自然にバギーを押して、ほのさんを助けてくれたこと。

そんな優しい2人が、たまたまほのさんと同級生だったこと。


なんだか、お祭りでの、
思ってもみなかった嬉しい出来事に、
ほの家の心は踊った。


公園の外まで一生懸命に2人してバギーを押してくれて、
きっとほのさんも後ろ髪引かれる思いだったろうが、
いよいよ、バイバイ。

すると2人が、

ほのかちゃん、また来年お祭りで!

と言ってくれた。


すご〜く嬉しかった反面、
1年に1回しか会えないんじゃ淋しいなあ、
なんとかもっと遊ばせてあげたいなあ、
と少し切なくなってしまった。




お家で過ごしたい、地域で暮らしたいと、
生後9ヶ月のほのさんを初めて連れて帰ってから、
本当にほんとうに色々なことがあった。

お家の中で起こること、慣れないほのさんのお世話で精一杯だった日々、
だんだんと、とうさんにほのさんを任せて買い物に出られるようになり、
たくさんの方たちの訪問を受けながら生活が回り出した。

お家での生活に慣れ、たくさんお出かけもできるようになり、
幼稚園のようなところに通いたいと願った頃。

今のマンションに引越しし、心新たに始まった生活。

越してきたばかりの頃は、お祭りがあることも知らず、
太鼓の音が耳に入る余裕が出来ても、
自分たち家族には関係ないイベントのように感じていた3年前。

色々なことに興味が出てきて、体も徐々に強くなって、
ほのさんが、”おまつりに いってみたい”と言い出した2年前。

そうして期待と不安が入り混じった気持ちで、
お祭りデビューした去年。

今年はお祭りに参加しただけではなく、
お友だちまでできた。



”地域で暮らす”と一口に言っても、
ほんとうに、”だんだんに”だ。
本人の気持ちも体調も、環境も。

”だんだん”変化してきたこと、
その一つひとつは小さな一歩だけれど、
まだ赤ちゃんだたほのさんを連れて帰ったあの日、
この子が小学校にあがって、
近所のお祭りで新しいお友だちを作る日が来るなんて、
全く想像できなかったことを考えれば、
ほのさんは着実に前に進んでいる。

ほのさんはお家に帰っただけで、
ちっとも”地域”で暮らしてはいない、
なんて思ってた頃もあったけれど、
ほのさんは”わがや”を中心に、
”学校” ”寄り道するイオン” ”とうさんとかあさんがコーヒーを買うコンビニ”
”お友だちのお家” ”お友だちの通う学校”、
という風に、
白紙だった地図に色々な場所が書き込まれて、
ほのさんのセカイは広がっていくんだ。

それが、”地域で暮らす”ということなんだ。



晩夏、お祭りで生まれた友情は、
ほのさんの地図を虹色に彩った。
by honohono1017 | 2014-09-02 09:41
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