ほのさんのバラ色在宅生活


低酸素脳症、人工呼吸器をつけた娘とのナナコロビヤオキ的泣き笑いのバラ色在宅ライフ
by honohono1017
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半ベソほのさんと、聴診器のはなし。

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昨晩も、ほとんどおしゃべりせずに、
スースーと寝息だけたてて、眠っていたほのさん。

今朝、お風呂にはいって、
ほのさん、かゆいとこはどこ?

と、かあさんが聞いても、まったくお返事なし。

午後からのリハビリでも、今日は反応がないかしらん、
と思っていたのだけど。

ピンポーンとチャイムがなって、
S先生が入ってくるやいなや、

ふふーん!と一声、大きな声でお出迎え。

その後も、小さな声だけど、
しきりに先生にお話をするほのさん。

嫌いな足首を伸ばされると、
ちゃあんと、

なにするのよー、

と不機嫌そうな声も出て。

椅子に座ってからも、
ヤル気は満ち溢れているのだけど、
なかなか思うように動かせなくて、
今日は早々に疲れてしまった。

それでも最後に、
先生が持ってきてくれたキャンディーボールを
勢い良く両手で叩いてみると、
いままで触ったことのない感触が気にいったのか、
急に真剣な表情に変わって、
一時、集中して触っていた。

本当は、このキャンディーボールの上に手を乗せて、
いつもみたいに動かせたら、と思っていたのだけど、
なかなかうまくいかず。。

そんなこんなで、
かあさんが抱っこしてベッドに戻り、
着地するやいなや、
急に真っ赤な顔して両目から涙を流し、
ふえーん……
って、半ベソ顔になったほのさん。

今日は、なにひとつ、自分の思うようにできなくって、
ヤル気はあったものだから、
ほのさの的に、ものすごく悔しくて、
もどかしかった様子。

こちらも、ほのさんの自発的な動きを利用して、
何か楽しい遊びができないものかと考えるのだけど、
なかなかうまく引き出してあげることができず、で。

なんとか、ほのさんのもどかしさを解消してやらなければならないし、
うまく導いてやれない申し訳なさもあるけれど、
ほのさんの半ベソ顔は、
なんだかとても可愛くて、
それだけ成長しているのだと、嬉しくもあった。






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さて、先日、ついに聴診器を新調した。

ほのさんが生まれてからずっと使ってきたピンクの聴診器は、
確か、かあさんが大学生くらいの頃、
下北沢のstudyroomかどっかで、
千円くらいで買ったもの。

ハイキングなどに行った時に、
木の幹に聴診器をあてると、
水分を吸い上げる音などが聞こえる、
ということで、やってみたくて買ったのだが。

まさか、子どもが生まれて、
「聴診器」として使うようになるとは夢にも思わず。

安物だし、外バネ式で、
耳管とチューブがすぐにはずれてしまっていた。

最初の頃は、胸の音を聴く、
というよりは、
胃チューブが入っているかどうかを確かめる、
という使い方がメインだったし、
全く用は足りていた。

しかし、このピンクの聴診器には、
忘れられない思い出がある。




ほのさんが退院して4ヶ月経たない秋口の日の夕方、
ソリタ水の注入が終わるやいなや、
サチュレーションが徐々に下がりはじめ、
モニターを見ていると、
あっという間に90台を切ろうとしていた。

ほのさんはその頃から、サチュレーションを滅多に下げることがなかったし、
その下がり方からして明らかにおかしく、
かあさんは、すぐにこのピンクの聴診器をほのさんの胸に当てた。

すると、右も左もうんともすんとも音がしない。

そんなことがあるはずない、
おかしい、と思って、
2度、聴いてみても、
痰の雑音すらしない。

すぐに呼吸器をはずしてアンビューをつける。

普段なら、酸素を繋いでアンビューをすれば、
すぐにサチュレーションはあがってくるのだが、
その日は下がる一方、
そのうち、心拍まで下がってきて、
しまいにはモニターの2つの数字は、
両方とも0になって、
アラームが鳴り続けていた。

ほのさんの顔色は、真っ青どころか、
ほとんど黒くなっていた。

アンビューと心臓マッサージ、吸引を繰り返し行っているうちに、
なんとか呼んでいた救急隊が到着し、
きちんとした心臓マッサージをしてもらうと、
すぐに心拍は復活し、
救急車に乗り込む頃には、
どういうわけか、酸素は流していたものの、
サチュレーションは100になっていた。

今思えば、
聴診も、訪問看護師さん任せ、
気管の痰がものすごく少なかったこともあり、
ほとんど排痰をすることもなく、
あんなに酷い痰詰まりにさせてしまったのは、
本当にかあさんのせいとしか言いようがない。

少しでも対応が遅かったら、どうなっていたかわからない。

しばらくは、ほのさんのどず黒い顔を思い出しては怖くなり、
自信をなくし、
サチュレーションが下がりはじめた同じ夕刻になると、
震えが来てしまうほどだった。

だがその日から、
わからないながらも、ほのさんの聴診を毎日何度も続けるようにし、
どのように体を動かしたら痰がうまく出せるようになるのか勉強した。

毎日続けるということは、すごいことだ。

最初はどれが痰の雑音かもわからず、
エアー入りがいいとか悪いとか、
左右差があるとかないとか、
全くわからなかったのだが、

ほのさん、もしもしするよ、

と、ほのさんに言って聴き続けていくうちに、
よーくわかるようになって、
排痰の後に取り残した雑音を取るには、
どっちに向けて、どこを動かしたら有効か、
コツをつかめるようになった。

わかるようになってくると、
今度は別のことで苦しむようになった。

かあさんは、こんなにほのさんの肺のコンディションをわかるようになって、
こんなにマメに排痰をしているのに、
なぜ、それでも痰詰まりを防いでやることができずに、
ほのさんに苦しいおもいをさせてしまうのか、と。

まあ、ずいぶんと思い上がったことのように聞こえるかもしれないが、
あの日の反省と教訓から、
ほのさんに痰詰まりがおきないように、
排痰に来る日も来る日も精魂こめて研究し、
毎日まいにちやってきたものだから、
それでも秋口に、どうにもならなくなることが、
どうしても受け入れられなかったのだ。

どんなに頑張っても、起きることは起きるのだから、
それにどう対処するかが大事だよ、
と、往診のT先生に何度言われても、
頭ではわかっていても、
こんなにやっているのに、もう手の打ちようがない……、と
かあさんの落胆は大きかった。


その間、とうさんから、
そろそろ聴診器を買い換えてみたら、
と何度か言われたこともあった。

かあさんも、ほのさんの胸の音が聴けるようになったと、
自分で自信がついたら、もう少しいいものに買い換えようと決めていたが、
あの日、自分のせいでほのさんに死ぬ思いをさせてしまった呪縛から逃れられず、
まだいい!
といって、ずっとピンクの聴診器を使い続けてきた。



ほのさん、もしもしするよ……





先日、おともだちが新しい聴診器を買ったというので、
試しに、使わせてもらった。

たしかに、かあさんのピンクの聴診器に比べて、
余計な音を拾わず、
低い音の雑音をよく聴取するように感じた。

そろそろ、ほのさんのも新しくしようと思って……


そう言いながらも、
まだ使えるしもったいないな、
と、ケチ魂もありながら、
おともだちに借りた聴診器を返しながら、
ほのさんのピンクの聴診器をまじまじと見ていたら、
イヤーチップにヒビが入っていることに気がついた。

それを見て、
ああ、これはもう、ピンクの聴診器とはお別れの時だなあ、
と思った。





あの辛い秋の日から4年。

毎日、排痰のたびにほのさんの胸の音を聴き続けて、
かあさんは、ほのさんの胸の音なら自分が一番だ、
と自信をつけた。

でも、
そんなことよりも、
このピンクの聴診器は大切なことをいっぱい教えてくれたように思っている。


かあさんが、どんなにほのさんの胸の音を聴けるようになって、
ほのさんの肺のコンディションがわかるようになって、
うまく痰をだせるようになっても、
生きているほのさんは、風邪だって引くし、
予想もしないような不調になることもある。

人間の体は理屈だけでは説明のつかないところもたくさんあって、
だからこそ「生きている」ということなのだ。


かあさんはただ、
ほのさんのからだ、もしもし?ちょうしはどうですか?

と聞いているのにすぎない。

お手伝いはできても、
生きているのはほのさん本人で、
ほのさんの、体なのだ、と。

いのちの尊さは、そんなところにあるのかもしれない、と。



そんな当たり前のことが
ちゃあんと身に染みてわかるようになるまで、4年……

何をしても長く続いた試しのないかあさんだけど、
ほのさんの「もしもし」は、
これからもずっと続けるよ。

今日から、新しいみずいろの聴診器で。

(それにしてもなんでかあさんは、
ピンクの聴診器のチューブのど真ん中に、
黒のマジックで名前なんか書いちゃったんだろね……)




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by honohono1017 | 2012-06-25 16:24 | Goods
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