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ほのさんのバラ色在宅生活


低酸素脳症、人工呼吸器をつけた娘とのナナコロビヤオキ的泣き笑いのバラ色在宅ライフ
by honohono1017
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「思いの限り」を、尽くすということ。

震災から3ヶ月たった、6月11日、
各地で大規模な、脱原発デモが行われた。

その様子をメディアを通じて見ていて、
かあさんが思うようないわゆる「デモ」というのとは少し違う印象で、
いわゆる「シュプレヒコール」というようなものではなく、
あらゆる年代の、
参加した一人ひとりの「おもいおもい」という感じだった。

だが、それを見ていても、
自分が暮らしている国で、いままさに起きていること、
というような臨場感と現実味が持てず、
ある一定の問題意識はあるものの、
「視点」を持って、行動する、
というには至らないでいる。

原発の問題にとどまらない。

長いスパンで見た、日本の復興。
混乱した、政局。

いろいろな問題があって、
そのどれもが、一人ひとりが真剣に向き合わなければならないもので、
自分自身ももれなくそうなのだが、
この3ヶ月間というもの、
どこか逃げ腰で、
向き合うことを意識的に避けてきたのかもしれない。


そうでなくても、ほのさんの体調が落ち着かない日々であり、
自分自身の体調も、すこぶる悪く、
浮き足立っている理由を深掘りし始めたのなら、
日々の生活すらもままならなくなり、
ほのさんの小康をたもつことにも自信がもてなかったのだろう。

恐るべし、災害の影響。

そして、被災地の方々の心のうちには、
到底、慮ることなど、できない。



そんな中、つい先日のことだが、
居住区の、役所の障害担当課の方の訪問を受けた。

ほのさんが退院した直後も、
色々な制度を利用する申請をするにつけ、
「子どもは例外」、「前例がない」という決まり文句を言う担当者に、
一度、ほのさんの生活の様子を見にきてください、
とお願いしてやっと訪問してもらった、という経験もあったので、
明確な目的も無く訪問を受けるということに、
今回は少しとまどいもあった。

震災当日の様子などを聞かれ、
ほのさんについている機械類の説明や、
停電時の対応など、
バッテリーや、バギーなども、
良い機械なので、実物を見てもらいながら、お話した。




あの日、地震発生から3時間が経った頃、
この障害担当課からは、
安否確認の電話を頂いた。

聞けば、本庁からも、
把握している限りの在宅患者のところに、
兎にも角にも、連絡をしなさいという指示もあったそうだが、
そうでなくても、あの日、
自分の頭に浮かんだのは、
ほのかちゃんの顔でした、とおっしゃった。

これまで、担当者の異動や、
我が家の転居などで、
たくさんの役所の方と関ってきたが、
この言葉は、
ほのさんと、かあさんの心に響いた。

そんな嬉しい言葉を頂かなくとも、
あの日、
大きな揺れで、ひっちゃかめっちゃかになった家の中で、
ほのさんと2人きり、
職場のとうさんや、家族とも連絡がつかず、
余震のあいまをぬっては、
万が一に備えて、ほのさんの避難の準備をするのだが、
こんなときにどうしたら一番安全が確保できるのか判断もできず、
テレビに映し出される、恐ろしい津波の映像を見ては、
途方に暮れていた……

そんな時に頂いた、この安否確認の電話。
どんなに有難かったことだろう。



我が家からは一切、電話が通じず、
マンションのエレベーターも停まってしまい、
今後、起こりうる最悪のことを考えた場合に、
どうしたらよいのかと病院に相談したい旨を話すと、
役所が代わりに、病院に連絡を入れてくださったのだが、
当然、ほのさんが元気な状態だったので、
「マンションが避難勧告でも出ない限り受け入れは不可能」
という返事を、
役所を通じてもらったのだった。

その後の病院の対応としては、
計画停電が始まって2日目、
「バッテリーは準備できているか」という主治医からの電話をもらったのだが、
今後のことを考えて、
きちんと病院と相談しておきたいとずっと思ってきたのだが、
ちゃんと話し合う機会を作る努力をするでもなく、
本当に何が困っているかということを話す気力も無く、

ただ、今日も無事に過ごすことができた、
今日も、きょうも……
という具合に、
3ヶ月という月日が流れてしまったのだった。



そんな風に過ごしていてはいけない、
と思うきっかけを与えてくれたのは、
この役所の方だけではない。

東北の被災地に住んでいながら、
いつも、ほのさんのことを心配してくれて、
ほのさんの機械類にかかる電力などを計算したり、
避難方法はどう考えてくいるのかなど、
気遣ってくれる、工業高校に通う青年。

高齢のお母様が急変して、
呼吸器の音と、モニターの音を聞きながら、
病室で、最期の1日を付き添われた時に、
我が家がいつも、
ああ、こんな音を聞きながら、
幸せに暮らしているのかと、
ほのさんのことを思い出しました、とお話してくださった方……。

世の中は、無常でも、
みんなそこで、
生きているんだ……。



「思いの限り」を、尽くすということ。_f0199379_1664286.jpg

もうすぐ、来月7月23日で、
ほのさんは、おうちに帰って3年目を向かえる。

そそっかしくて、ズボラなかあさんだが、
ほのさんをおうちに連れて帰るにあたって、
ひとつだけ、
心に誓ってきたことがある。



「思いの限りの善処を尽くし、後悔を残さないこと」


ほのさんの体調が揺れれば、不安で不安で仕方ない。
自分が体調を崩せば、ほのさんのお世話がキツくなる。
そうでなくとも毎日寝不足で、疲れは溜まる、一方で。

だけど、
ほのさんのいのちは、
その瞬間、瞬間に、
後悔が無い。

いつも、精一杯、
生きている。

それなら、お手伝いするかあさんも、
どんな理由であれ、
「あの時、ああしておけばよかった」
と思うことが無いように、
思いつく限りの、
最善を尽くそう、と。


そうすれば、
ほのさんのいのちに、限りが来た時に、

ほのさんは、一生懸命、生きた、

かあさんも、精一杯、おてつだいした、


それが、いのち、
だと、思うから。


そう思って、
大切に、たいせつに、
過ごしてきた、日々だったのに。

その誓いをした、
自分の心。

ちょっと、くもっていたのだと。



電気を頼りにした、機械がたくさんくっついたほのさんでも、
助けてもらえば、何でもできる、
どこへでも行ける、
「元気な子」だ、と思って、
過ごしてきた。

「元気な子」だと思えるほどの、
支援を頂いて、
過ごしてきた。



それなのに、
電気が止まれば、
「元気」なまま、
いのちが終わっていく……
ということをリアルに感じ、
それは想像以上にショックなことで。

「当たり前」のことは、
「当たり前」ではなかったのだ、と知り。

自分ひとりでは、
ほのさんを外に避難させることもできない、
という自分の無力さが、
体の隅々にまで、染み渡り。


それで、
いのちを「守る」ということを、
この無常な世で、
何があっても「守りきる」ということであると、
思い違いをしてしまったのかもしれない。

大切なのは、3年前の夏に誓ったこと。

「思いの限りの善処を尽くして、後悔を残さないこと」。




ほのさんのように、
社会のシステムや制度によって、
わかりやすく「支援」を受けていると、
その生活に不自由が生じた場合に、
それを、何かのせいに、
誰かのせいに、しやすい。

制度が整っていないから、
理解がないからだ、と。

でも、大事なことは、そんなことではない。

ほのさんも、かあさんも、
そんな世の中で、
生きていて、
誇りを持って生きているのだから。

大切ないのちが、たくさん奪われていく中で、
いま、こうして生きていられるのなら、
「いま在るいのち」を大切にすることが大事だと、
確信していながらも、
いまの備えでは対処しきれない、長時間の停電時の対応や、
避難方法の確立など、
考えておかなければならないことがたくさんあるのに、
「思いの限りの善処を」尽くしていない、
この3ヶ月間の、自分。

自然界に生きる、ヒトとしても、
非常事態にある、日本の国民の一人としても、
ほのさんの、母親としても、
向き合うことを恐れて、
逃げ腰で、やり過ごす日々は、
もう、やめだ。



今日からまた、
思いの限りを、尽くそう。

大切なものを、
大切にできるように。

見えないけれど、
「心持ち」は、
意外と、
重要だ。



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by honohono1017 | 2011-06-13 16:07 | Life
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