ほのさんのバラ色在宅生活


低酸素脳症、人工呼吸器をつけた娘とのナナコロビヤオキ的泣き笑いのバラ色在宅ライフ
by honohono1017
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ほのさん誕生秘話 ~もうひとつのストーリー 完結編~

NICU担当看護師Tさんが書いてくださった、

「ほのさんとほのかあさん、ほのとうさんが家族になるお話」。

その内容と、かあさんがそれを読んで感じたことを、
これまで何回もに渡って、書いてきた。

ほのさんが生まれてもう3年が経った、いま、
こうして、あの日のことをもう一度、
Tさんのストーリーを手がかりにあらためて振り返ったのには、
いくつかの、大切な意味があった。




ほのさんが、無事に気管切開のオペを終え、
NICUから小児科に転科しようという、ちょうどその頃、
病院までの道沿いには、
たくさんの梅の花が、
寒さの中、凛と、咲いていた。

それを、バスの中からぼんやりと眺めながら、
毎日、ほのさんのもとへと通っていたかあさんは、
決まって同じ事を思っていた。

これから先、自分はほのさんのケアを全て覚え、
お世話ができるようになっていく。
そして、退院の準備を整え、
近い将来、我が家にほのさんを連れて帰る。

おうちでの生活は、
きっといまの自分には想像できないほど幸せで、
自分はきっと、ほのさんが生まれてきてくれたことを、感謝するだろう。

でも。

この先、どんなに大きな幸せがやってきても、
どんなに温かい生活が待っていても、
自分は、
ほのさんを、元気に産んであげられなかったことを悔やみ続け、
不完全な自分を攻める気持ちは、
どうしたって、
消すことはできないだろう。

そう、思っていた。

そして、時間の経過というものは、
そういう思いを抱えながら生きていくということ自体の、
辛さ、悲しさを、
色褪せさせることはあっても、
消し去ってくれることはないだろう、
そう、思っていた。

あるいは、
そんな思いを抱えて生きていくということが、
贖罪であるようにも、思っていた。

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3年、という月日。

日々、ほのさんの成長を見守り、
育み、
関ってくださる方々と喜びをわかちあい、
その時々で、
ほのさんの「いのち」について考え、
ほのさんが生まれたあの日のことを、
なんども何度も、振り返ってきた。

そして、
思いがけず、頂いた、
看護師さんからみた、我が家のストーリー。

それを読み、
ほのさんが、かあさんのお腹から出たと言われた16時28分から、
初対面を果たすまでの、
空白の4時間あまりの、ほのさんの様子、
確かに生まれ、
確かに存在していたこと、
そして、そればかりか、
ほのさんは、喜んで生きようとしていた様子を知ることができ、
かあさんの中であやふやだった、
ほのさん誕生の物語を、
やっと完成させることができたような気持ちがし、
それを完成させることによって、
ようやくほのさんが、ちゃんと、「生まれた」ような気がした。

いや、
自分自身が、
ほのさんの「母親」として、
そのとき、ちゃんと、
誕生できた気がしたのかもしれない。



そして、ほのさん誕生の瞬間から、
「消え入りそうなちっちゃな赤ちゃん」としてではなく、
「生きようとしているほのちゃん」として、
ほのさんを扱ってくださった、
医療者の方々。

主治医のO先生が、3年前の11月7日におっしゃってくれた言葉、
「本人の生きる意志というのは、医師がしてあげられることではなく、
本人の力だと思う。
ほのかちゃんには生きる意志を感じている」。

あの日から、3年もの間、
一度も思い出すことができなかった言葉ではあるけれど、
だからといって、
とうさんとかあさんの心の中に、
全く残っていなかったわけではない。

その言葉通りに、ほのさんに接してくださるスタッフの方々の姿を、
毎日、毎日、見ていたし、
その姿を通して、
とうさんとかあさんは
「とうさん」と「かあさん」になっていったし、
「家族」になることができていったのだ。

O先生の言ってくださった大切な言葉を思い出すまで、
これだけの長い時間が必要だったことは、
O先生には本当に申し訳ない気持ちもあるが、
ほのさんの「いのち」の重みを知るには
これだけの時間が必要だったと思うし、
時間をかけてこそ、
見出すことのできた、
大切な、大切なことだったと思う。

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担当看護師Tさんからこのストーリーを受け取ってから、
1ヶ月くらいたったある日、
かあさんは、いてもたってもいられなくなり、
突然、主治医O先生を訪ねた。

病院の、少し離れた周産期棟にはいり、
NICUの前のインターホンを、
とっても緊張して、鳴らした。

あの頃は、毎日面会に来るたびに
「ほのかの母です、面会に来ました。」
と、鳴らしていたインターフォン。

懐かしさが、込み上げた。

しばらくすると、O先生が、
いつものように、走って出てきてくださった。

約束もなしに突然たずね、
3年前の宣告の日のことをお話したら、
先生はきっと驚かれるだろうな……
とう思いながら、ほのさんの近況などを少し話した。

そして。

「先生、看護師Tさんが、あるストーリーを書いてきてくれて、
3年前のあの日、先生が『ほのかちゃんには生きる意志を感じている』と
言ってくださったこと、
あれ以来、はじめて思い出したんです。
ずっと、忘れていてごめんなさい。
でも、本当に、ありがとうございますって言いたくて来ました。」

そう、話した。

本当はもっと、ちゃんと、ゆっくり、
別な言葉で、言いたかったんだけど、
なんだか、うまく、言えなかった。

すると、O先生は、別段驚いた様子もなく、

「あの日のことは、おかあさんが、本当に辛かったということを
何度も話されていたから、
自分はあれでよかったのか、どうしてあげればよかったのかと、
考える日々でした。
でも、いま、そうやっていってくださると、救われます。」

と、すっと、おっしゃった。

かあさんは、本当に、
胸がいっぱいになった。

なんと、いのちに対して真摯な医師なんだろうと、
そのことに対して感謝を述べに来たというのに、
かあさんは、再び、驚かされてしまった。

O先生のなかで、あの日のことが、
そんなふうな思いとして残っていて、
それが医師としての態度としてよかったのかと、
問うていた、というのだ。

先生のそんな気持ちに気付くこともなく、
かあさんはただ、かあさんとして傷ついたり、
ほのさんのことを思ったりしてきて、
いま、やっと、O先生の言葉、その裏の気持ちに、
気付いたのだった。

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医療というものについて、
深く考えた。

医療は、そのとき、その場で、
行われるものかもしれない。

でも、それは、
そのとき、その場で、完結するものではなく、
患者や家族のその後、
将来にまで影響する。

そのときの医療体験が、
患者家族の将来を、左右することもある。

そのときに受けた医療の意味を、
だいぶ経った後で、知ることもある。

「医療者に望むことは」などという問いを受けることがある。

その時々で、いろんな答えがあった。

でも、いまはっきりと言えることは、

そこにまず、「いのち」があって、
その「いのち」の意志を尊重できること、

それが、看護師TさんやO先生をはじめとする、
ほのさんを育ててくださった医療者の方たちから
教えられたことだ。



担当看護師Tさんが、退院2周年に書いてきてくださったストーリを、
読むことができたこと、
そして、3年前のあの日のことについて、
O先生ともう一度お話しすることができたこと、
それは、
紛れも無く、
ほのさんのいのちが、
あの日からずっと、
今日まで続いてきた、
という証だ。

その証を手にしたことによって、
かあさんは、
絶対に消すことができないと思っていたあの気持ちを、
いま、
ほとんど、
感じなくなっていた。

かあさんが、ほのさんを、
健康に生むことができなかったのではない。

ほのさんの「いのち」は、
かあさんがどうしたって、
どうにかできるほど、
簡単な、安っぽいものではないのだ。

ほのさんは、
生まれたくて、
生まれてきた。

いまも、
生きたくて、
生きている。

かあさんは、そのいのちを、
精一杯、
育む。

それだけのこと。

それだけ、
尊いということ。


担当看護師Tさんのくださった

「ほのさんとほのかあさん、ほのとうさんが家族になるお話」は、

わたしたち家族の、
絆を、
より深いものにしてくれた。

おわり。



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by honohono1017 | 2010-11-01 12:44 | Event
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