ほのさんのバラ色在宅生活


低酸素脳症、人工呼吸器をつけた娘とのナナコロビヤオキ的泣き笑いのバラ色在宅ライフ
by honohono1017
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臓器移植法、その後。

何の、因果だろうか。

17日という、日。

2007年10月17日、
かあさんの大切な、
ほのさんがこの世に誕生した。


そして。

今年、2010年、
1月17日から、
改正臓器移植法の一部が施行された。

「親族への優先提供の意思表示」が可能になったのだ。

これに関して、以下のような記事を見つけた。



日本臓器移植ネットワークの「臓器提供意思登録システム」で、
1月15-24日に新規に臓器提供の意思を登録した人のうち、
約4分の1が「親族への優先提供」を希望したことが25日、
厚生労働省の「厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会」で明らかになった。

新規に登録した約700人のうち約170人が、
親族への優先提供の意思を登録したという。
また、既に臓器提供の意思を登録していた約5万3400人のうち約2500人が、
親族優先を希望する内容に登録を変更していたという。

(医療介護CBニュースより)


さらに。

今年、7月17日から、
全面的に、改正臓器移植法が施行されることになる。

その内容は、厚生労働省の
健康局疾病対策課臓器移植対策室の政策レポートから
見ることができる。

何がこの夏、
改正されるか、
臓器摘出の要件や、脳死判定の要件については、
今さら、述べる気もない。

だが。

それによれば、
臓器移植とは……
「重い病気により心臓や肝臓などの臓器の機能が低下し、
他の治療法がない場合に、臓器提供者の臓器を移植し、
健康を回復しようとする医療です」
ということだ。


また、「普及・啓発」に関してこのように記されていた。

「国及び地方公共団体は、移植術に使用されるための臓器を
死亡した後に提供する意思の有無を運転免許証及び
医療保険の被保険者証等に記載することができることとする等、
移植医療に関する啓発及び知識の普及に必要な施策を講ずるものとする。」


検討事項としては、
「虐待児」の問題、ただひとつを挙げている。




これを見て、
「臓器移植法」の問題は、
あくまで「臓器移植」の問題であるのだと思った。



もちろん、このようなことを簡単に言えるようになったのではない。
以前であれば、言えなかったはずだ。

いま、この瞬間も、
脳死は人の死ではないと思っている。

だが、
脳死は人の死か?
という議論すら、
ほのさんとかあさんにとっては、
もはや意味の無いことになってきた。

臓器移植ありき、のところで、
脳死は人の死かどうかを議論しても、
それは、どうしたって、
臓器移植ありき、の話である。


ほの本が発売され、
当時の私の、臓器移植法に対する、
リアルな感情が、たくさんの方に読まれて、
良い機会なので、
この法案と、我が家の生活を、
振り返っておこうと思う。




昨年、国会でこの問題が議論されている時には、
確かに目の前で生きているほのさんを見て、
毎日幸せな日常を送る中で、
この事実を知らないたくさんの人が、
「脳死は人の死か」という議論に、
さほど興味を持たなかった、
あるいはその議論の意味すらわからなかったということに、
我が家も大きく動揺した。

そして、
ほのさんといういのちを、
我が家という、あたたかい場所において
育みはじめ、
その生活が日常となりつつあった、
まさにその時に、
このような問題が世の中で騒がれるという、
この偶然、あるいは必然を、
どのように捉えるべきか、
わからなかった。


だから、
とにかく、ほのさんのようなこどもが、
頑張って生きていること、
お家で暮らしていることを、
たくさんの人に知ってもらおうと思った。

だが、
残念ながら、
マスコミの、ほのさんのようなこどもたちの取り上げ方は、
臓器移植法の改正の裏に隠された多くの問題点を、
きちんと掘り下げることは無く、
こっちにもこんな子がいた、
あっちにもいた…
と騒ぎ、
その証拠に、
ほとぼりが冷めれば、
忘れ去られてしまった。

視聴者や読者にとっては、
一時、画面に映った家族、
紙面に載ったいのちであるかもしれないが、
私たちにとっては、
毎日の生活そのものであり、
ほのさんの存在そのものであり、
かあさん自身の人生でもあるのだ。

それは、移植を望むおこさんやご家族にとっても
同様のことである。
おこさんの容態が、切羽詰ったものであるならなお、
この法律が改正されることを、
1日も早い実現を望まれるのは、
子を持つ親ならば、当然のことだ。



だが、その一方で、
我が子が、法的脳死診断を受けていないとはいえ、
脳死が人の死であると、世間で認識されるようになることは
身を切られるような思いであり、
頑張って生きている、
目の前の我が子に対して、
申し訳なさで胸がいっぱいとなったのも事実だ。

脳死判定を希望せず、
臓器提供の意志が無ければ関係ない、
という主張は、
現実、
成り立たなかった。

それは、かあさんが身を持って感じた、
事実である。

それだけ、
この法律改正の持つ意味は大きく、
たくさんの問題を孕んでいることは否定できない。



そんな葛藤の中、
かあさんはどうして、
毎日打ちのめされて、
うなだれて、いることがでただろうか。

目の前のほのさんは、
そんなことには関係なく、
すくすくと育ち、
かあさん、かあさんと、
呼びかける。

私たち家族の生活は、
ほのさんの、いのちは、
誰がなんと言おうと、紛れも無く、
続いていたから。


それで、かあさんはある決意をした。

ほのさんのようないのちが、
生きることだけに必死ないのちが、
社会的に葬り去られることのないように、
自分の力で、自分の声で、
ほのさんのいのちを、
たくさんの人に知ってもらおう。

ほのさんが、どうやって暮らしているのか、
どうやって生まれて、
どうやっていのちの危機を乗り越え、
準備をして、自宅に帰ってきたのか。
帰ってから、どんな苦労があるのか。

重い障害を持つ、
とりわけ小児に対して薄い支援体制の問題、
サービスの実際、
地域での協力の様子など、
具体的に、たくさんの方と共に、
考える機会を持とう。

そうすることが、
実際的であり、
ほのさんのようなこどものいのちを、
権利を守ることになると思った。

それが、昨年10月行ったシンポジウム、
「輝け!地域で育むいのち
~重症キッズの楽しい在宅ライフ~」
であった。

シンポジウムを開催することが、
どれだけ大変なことかは、
全く考えなかった。

ほのさんとの24時間ケアでびっしりの生活の中で、
協力者・ボランティアスタッフを募り、
パネラーの派遣依頼をし、
内容を考え、
宣伝し、
それに伴う事務的作業、
文章作成、発送、連絡……
会場準備、物品手配……

それらのことは、
かあさんの想像をはるかに超える、大変さであった。

だが、そんなことは、どうにかなった。

ほのさんが自分で生きている、そのがんばりがある限り、
苦労は、ちっぽけなものだったし、
同じ地域に、
頑張って暮らしているおともだちが、
たくさんいたから。


一番辛かったのは、
開催するまでの間に、
臓器移植のことでマスコミに出た後だったために、
政治的な家族であるのではないかと警戒されたり、
何か大きなことをやろうとしていると誤解されたことだった。

実際のシンポジウムは、
あくまでも、重症児の在宅生活を考えるものであったし、
まして、
病院や、役所などを批判するものでもない。
ほのさんは、支援してもらっているのだから。
たくさんの方の協力を得ながら、
大切ないのちを地域で育みたい、
安心して、暮らして生きたい、
ほのさんの穏やかな生活を、守りたい……
その一心だったのに。



目の前のほのさんが、
今日も明日も、
健やかで穏やかであればそれでいい……

本来であれば、
そう言いたかった。

だが、ほのさんをとりまく環境、
両親のうちどちらかが倒れたら、
守ってあげることのできない自宅での生活、
あるいは、
いつ、やってくるかわからない、
死……

そして、この法律の改正が拍車をかけて、
私は、いてもたってもいられなかったし、
何か、自分のできること、
娘のためにできることを、
いますぐに、
やらなければ……

それが、ほのさんに対する責任であり、
自分自身が、
ほのさんの母として立っていられる、
唯一の方法であると思ったのだった。

結果的に、
シンポジウムは予想をはるかに上回る、
165名の参加者と共に、
重症児の在宅生活について考えるよい機会となり、
我が家だけではなく、
支援を望むこどもたち、ご家族がたくさんいること、
実際に支援している方々がたくさんいること、
応援してくださる仲間がたくさんいることを実感し、
大きな力をもらった。

しかし、
かあさんは、
自分で考え、
開催し、
予想以上のものを得たこの会を、
どう消化して、
今後に生かしていったらよいのか、
全く、わからなくなっていた。


つづく。


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by honohono1017 | 2010-02-02 18:34 | Life
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